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同じくフラットランドで活動する黄昏梟の部隊と合流したチヨは、キャンプが深刻な物資不足に陥っていると知る。
特に食糧不足が致命的で、満足な食事が摂れずに不満の声を上げる構成員も出始めているという。
しかし、技術・道具・資源の多くが失われたこの黄昏の世界では、現地の住民にとっても食料品は貴重である。彼らの生活をおびやかしてまで確保すべきではない。

どうしたものかと手をこまねいていると、隣の地区に遠征していた黄昏梟から報告が入った。
食糧不足を打開する糸口が見つかったらしい。
彼の先導で、隣の地区に足を踏み入れる。何やら広場が騒がしい。
人垣を掻き分けて進むチヨ。その輪の中心に鎮座していたのは、奇妙な球形の機械――フードジェネレータだった。
水と適当な有機物を放り込むだけで、人間が摂取可能な食物を作り出せる、夢のような装置。

なのだが…

「…動かないな」
「材料は入れたのか?」
「もちろんだ。破損個所も全て修理した。となれば…バッテリー切れだな」
「やれやれ…今度は電源不足か…」

その会話を耳にしたチヨの脳裏に、穏やかに眠る天使の姿が浮かび上がる。

「もしかしたら、これが合うかも!」

チヨは鞄から汎用バッテリーを取り出し、装置にはめ込む。しばしの沈黙。
人々が固唾を呑んで見守る中、小型のフードジェネレータは、ブーンと低い音を奏でながら動き出した。
これで、キャンプの仲間も現地の住民も、食べ物に困ることはなくなるだろう。

***

暮れゆく夏の空を見上げながら、チヨはふっと微笑んだ。
自らの命は尽きようとも、大勢の人間を飢餓から救ったイカロスの女性。これで彼女も浮かばれるだろうか。
エネルギー問題を解決するため、雛鳥は次なる地・ニューカナヤマへと羽ばたく。

呪文

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