キャンバス
今日も今日とて私の部屋で昔の写真を漁っている妹の
一人が、なにやら見つけたらしく素っ頓狂な声を上げ
私を呼んだ。
「…これ、姉ちゃんだよねぇ?
いつくらいのだろ…私達くらいの歳…?」
「うん、たぶん。…でも
…なにこれ…体に絵が描いてある…?」
んん?
どれどれ?
ひょいと妹達の頭越しに覗き込む。
二人が手にし、見つめていたのは一枚の写真。
そこに写っている人物、年の頃は14~15歳の少女で
眼鏡をかけている。
…そして異様な事に…顔から首筋、更には胸部にかけて
緑色の紋様が描かれているのだ。
これは…
私だ。
うん、間違いなく私だ。
なんてこった…こんな黒歴史な写真が残っていたとは…
とっくの昔に処分したものだと思っていたのだが…よも
やこんな場所に仕舞ってあって、それをよりにもよって
妹達の手で発掘されてしまうとは…抜かった…。
「ね、これ、何?どういう写真?」
…うん、もっともな疑問だね。
まぁ…もう見られてしまっているのだから隠し立てする
必要もない…というか、ちゃんと説明しておかないと
私が変な趣味でも持っていたのかと誤解されかねない。
というわけで、一応写真についての解説をば。
これねぇ、文化祭のクラス展示用の写真なのよ。
「文化祭の?!」
「展示用ぉ?!」
そ、クラスに美術部の子がいてね。
その子が『なんかやりたい~!』って言い出してさぁ…
んで、羽陽曲折あって有志による展示作品の制作って事に
落ち着いたんだけど…今度は普通のじゃ面白くない、変わ
った事がしたいって…まぁこの辺は話すと長いから端折る
けれど…結局最終的に『人の身体をキャンバスにしよう』
ってアイデアが採用されたわけよ。
「そのキャンバスに姉ちゃんが選ばれた、と?」
『キャンバスの一人』に、ね。
そう言って私は肩を竦めて見せた。
そう、キャンパス役という名の犠牲者は複数人いたのだ…。
「で、これがその時の写真?」
正確には展示用の写真ではないけど…まぁその時の物ね。
実際に飾るつもりだったのは手とかお腹とか、部分部分の
アップ写真で顔とかは写ってなかったのよ。
「じゃあ眼鏡は、なんで?」
教室でペイントして、写真は外で撮ったから。
移動の際に身バレしない様に…変装したのよ。
「あぁ、なるほどね。」
と、そこまで説明したところで妹の一人が首を傾げた。
ようやく話を終われると思っていたのだが…こやつ…
どうやら要らん所に気が付いたッポイ…
「…だった、っていったけど…それはつまり
写真の展示は無くなった…って事だよね?
なんかあったの?」
…っち…やはり気付いたか…
ま、ここまで話したんだからしゃーない…か。
え~…と、ねぇ…
先生方に怒られた…
「怒られた?」
うん。
『芸術的、挑戦的なのは認めるが、中等部の生徒が
しかも生徒会執行部の役員が人前で肌を晒すような
真似をするのは感心しない。文化祭には親御さんや
来賓の方も多くいらっしゃるのだから自重しなさい!』
…てなもんよ。
んで、お蔵入り。
「は~…綺麗なのにねぇ。」
「ね。勿体ない。」
いやいや…実際やってる時は楽しかったけどさ、後々
思い返すとやらんでよかったと思うよ…。
あんた達も中等部のうちはあんまり先鋭的なのは
やめておきなさいな。
「「はぁーーーい」」
…
……
………
この時は素直に意見を受け入れた妹達が、自らの背中を
キャンバスにしたボディペインティングの写真をクラス
展示の作品として提出し、大目玉を喰らう事になるのは
…もう少し先の話だ。
呪文
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1件のコメント
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さ…3位?!
emerald限定だけれど…
デイリー3位!?
え、すご…
ありがとう姉ちゃん…!
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