俺と先輩のクリスマスイヴ

2024/02/20

使用したAI ちちぷい生成機能

静まりかえるオフィス内。明かりは点いておらず、パソコンから放つ光と打鍵音だけが響いていた。

　画面を見過ぎたせいか、視界がぼやける。眉間を揉んでいる俺に、コーヒーを淹れたカップを持つ女性が来る。彼女は二つあるカップの片方を俺に渡す。

「松原くん、ごめんね。手伝わせて」
「ありがとうございます。俺は先輩のプロジェクトを成功させたいんです。どうぞ、こき使ってください」
「もう……」

　先輩が嘆息する。

　入社して、自分の教育係になった年上の女性。美人で面倒見がよくて、いわゆるマドンナ的な存在だ。若い男性社員は、彼女のことを狙っていると思う。

　俺が残業してまで手伝っているのは、先輩のことが好きだから。好きな人が困ってたら、助けたくなってしまう。諸君ならわかるだろ？

「今日は何の日か知ってる？」と先輩。
「クリスマスイヴですよね。見ました？　イルミネーション。すごく綺麗でした」
「だからよ。予定とかあったんじゃないの」
「全然。今年もぼっち確定です」
「そうなんだ」
「先輩は仕事がなかったら──いや、聞かないでおきます」

　先輩に恋人がいるかは知らないが、モテる彼女ならいるんだろうな。そして熱い一夜を……ああ、仕事に集中するんだ！

　物凄い勢いでキーボードを叩く。早く終わらせて、先輩を仕事から解放するんだ。

「松原くん、なに言いかけたの？」
「…………」

　カタカタ、カタカタ。

「こっち向いて」
「うぐっ……」

　ぐりんと顔を動かされる。と、先輩の整った顔が目の前に。長い睫毛と、しっとり柔らかそうな唇。俺を見る目は怒っている。

「言いなさい」
「……先輩は彼氏いるんですか？」
「いないよ。ずっと仕事が恋人かな」
「へえー」

　嬉しい情報をゲットした。なら、俺でもチャンスはあるかもしれない。

「俺、いると思ってました。先輩美人だし」
「〜〜！　からかわないでっ」

　真っ赤に染まる先輩。コーヒーを一口飲んで、気を落ち着かせるとつぶやく。

「私は顔で判断しないよ。あ、でも性格悪い人はいやかな。一緒にいて楽しい人がいい」
「俺もそう思います。好きな人と一緒になれたら」
「松原くんは好きな人いるの？　この会社？」

　質問が突き刺さる。顔が熱くなるのを感じて、俺もコーヒーを飲む。言え、言うんだ。

「先輩。好きです。俺と付き合ってください」

　玉砕覚悟の告白に、先輩は目を丸くする。

「わ、私が好き……」
「初めて会った時から。失敗して叱るあなたも、褒めてくれるあなたも大好きです。先輩の彼氏にしてください」

　しばらく黙った先輩は、「はい」と答えた。

「こんな私でよければ、お願い致します」

　見つめ合う俺と先輩は、啄むようにキスを交わす。ファーストキスの味は、コーヒーだった。

「さっさと、仕事終わらせましょう」
「はい、先輩」

　今は目の前の仕事に集中する。なんとかプレゼン用の資料を作り終えると、俺と先輩は会社をあとにした。

「松原くん。ご飯食べていこうよ」
「ですね」
「その後さ……一緒に、終電逃さない？」
「ッ……」

　食事後、ホテルで先輩と朝を迎えた。