絵本
「ススキの野原で……狐の女の子を追いかけたんだ。でも、全然追いつけなくて……。」
話しながら、胸の奥が締めつけられるような気がした。
「最後に、その女の子が振り返って……バイバイって。」
言葉を紡ぐうちに、不安がこみ上げる。
「その女の子、君に似てたんだ。」
「……、転校したりしないよね?」
不意に、涙がこぼれそうになる。
男のくせに泣くなんて、と思うのに、どうしても抑えられなかった。
彼女は驚いたように僕を見つめ、それから、ふっと優しく微笑んだ。
「それ、昔一緒に読んだ絵本だよ。」
「……え?」
僕は覚えていなかった。
「狐の女の子が汽車で遠くへ行ってしまうお話。」
彼女は懐かしそうに目を細める。
「その最後、狐の男の子は丘の上で『サヨナラ』って叫ぶんだよ。でもね……」
彼女は僕の目をじっと見つめた。
「君は、私の方をじっとみてね『僕なら追いかける』って言ったんだよ。」
「私、はっきり覚えてる。」
そういわれても、
僕はぼんやりとしか思い出せなかった。
結末が悲しくて、その絵本はもうそれきり読まなかった気がする。
物語のつづき
https://www.chichi-pui.com/posts/3d669506-00c7-4389-ac29-fdb2572c0f57/
物語のはじめ
https://www.chichi-pui.com/posts/2aa62137-6b91-4e9f-b806-f4d8189cdc78/
呪文
- Steps 24
- Scale 5
- Seed 2441052283
- Sampler Euler a
- Strength
- Noise
- Steps 24
- Scale 5
- Seed 2441052283
- Sampler Euler a
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