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「遅いぞ…」

「悪いな…準備に手間取っちまった」

「ふん、そうみたいだな」

神の繭入り口では、あいぼうの友人が一人
つまらなそうな顔をして待ち構えていた

こんな時だと言うのに、話す内容は日常会話の延長戦といった感じ
ただ、最後に私達の後ろのトラックを一瞥して鼻をならしたくらい

本当にいつも通りって言った感じだろう
敵味方に別れてなお…

「親友さん、あなた一人?」

「ふふ…そんなに心配しなくても私も居るわよ。可愛いエンク❤」

可愛いと言われて今でも一瞬心が動いてしまう
でも、その言葉を何であの時くれなかったのか
もう交わることの無くなった道だ

「一応聞いておくわね…優しい嘘に浸かる気になっった?」

「「Noだ」」

「でしょうね…全く私の全力で幸せに包んであげたって言うのに。本当に勿体ない。神に支配されるっていうのも案外悪くないものよ?」

気持ち悪い…
私は操り人形なんかじゃないわ

例えシンカロンだとしても
私は私…Think Aloneの名前通り私にしか支配できないの


「本当に残念ね…仕方がないから昔の素直で可愛いあなたに戻してあげるわ…」

な、何これ…
どす黒い感情が私に流れ込む…

だめ、止めて
私から私を奪わないで…

ヤダ、私はもう戻りたくない
あいぼうのお父さんを…笑って殺してしまったようなあの頃の私に
あれは実際には私じゃなくて妹の行為だったけど

そんなの関係ない
Think Aloneと言いながら思考が繋がっていた私達だから。
私の手にもしっかりとあの時の感触が残っている…残ってしまっている

最初に謝りに言った時に殴られたこと
それからも何度も通って
だんだん私の事情を理解してくれて
最後には許してくれたこと

まあ、お義父様の力も少し借りてしまったけど…
事前に自分が死ぬことを理解して遺言を残してくれていたなんて思わなかった


消えていく…大事な思い出…
大事な記憶…一つ一つ…全てが消えていく…
かわりにどす黒い感情にかわってしまう

私が…消える…
逃げて…あいぼー…

「なんて言うと思った?あんたの行動なんてお見通しよ。隊長さんお願いします‼」

「全く…上司をこき使うのなんてお前くらいだぞ?もう3日も寝てないんだからな」

そう言った隊長さんは用意していた機械のスイッチをいれる
ゼリーの脳波を操って相手の思考を読む力
相手の思考を一部操り、思考を歪める力
それら全てを封じ、マイクロチップを止める最強の妨害電波
ゼリー位長期間埋め込まれていた相手のマイクロチップは完全には停止しなくても
最近埋め込まれた親友さんになら‼

まあ、元々群体タイプだった私の脳にも少しダメージが届いてしまう

問題は…バックアップをとっていた私と違って、マイクロチップを埋め込まれた親友さんの脳には、バックアップ無しで少なくないダメージが与えられてしまう事。

どうなるのか誰にも想定できない

呪文

入力なし

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