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迷探偵オートロック・ホームズの手記より抜粋
第十三章:「時を盗む双子怪盗」
 ロンドンの薄暗い街灯に照らされ、冷たい風が肌に纏わりつくある晩、私はかねてより耳にしていた「時計の怪盗」についての調査を続けていた。その名は噂の双子の少女――ルーシーとエミリー。年若くして驚異的な技術を持ち、己の美貌と機知を武器にする怪盗だと聞く。

 彼女たちは、誰もが喉から手が出るほど欲しがるアンティーク時計を次々と盗み出すことで有名だった。被害者はことごとく同じ不思議な現象に見舞われる。「まるで時間が止まったように動けなかった」と、すべての証言者が口を揃えるのだ。

 その夜もまた、彼女たちの標的となった屋敷で何やら不穏な動きがあった。私は早速、足を運んだ。

「おや、今宵も客が多いようだな」と私は思わず呟いた。重厚な扉を開けると、すでに遅く、室内には薄い光に包まれた二人の少女が立っていた。背中合わせに立ち、彼女たちの金色の髪が微かに揺れる。ルーシーが微笑みながら懐中時計を掲げ、まるで時を支配するかのような冷静な目で私を見つめた。一方、エミリーは無言で佇むが、その姿勢からは、すでに何もかも見透かしているような余裕が伺えた。

「オートロック・ホームズ、あなたも遅すぎたわね」と、ルーシーが言った。

「時計はもう私たちのもの」とエミリーが続けた。

 その言葉に、一瞬、私は息を呑んだ。だが冷静に考えれば、彼女たちの狡猾な手口にはいつも一歩先んじてきた。私は彼女たちの策略を見破ってみせるのだ。

 目の前に広がる光景はまるで幻のようだった。輝く星のような衣装に包まれた二人の少女が、ほのかな光を帯びた帽子を深く被り、こちらを見つめていた。時間を操るかのような静寂の中で、ルーシーが持つ時計の針が微かに動き始めた。その瞬間、室内の空気が一変した――まるで時間そのものが乱されたかのように。

「さて、ホームズさん。どうするの?」ルーシーが挑戦的に微笑む。

「私たちが逃げ切れるか、あなたが捕まえられるか、どちらが先かしら?」エミリーもまた冷たい瞳で見据えていた。

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