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有毒メイドのメアリーさん

使用したAI その他
「チフス人だと!?バカな……まだ生き残りがいたのか」
メイド姿の私の前で帝国皇帝が膝をつきました。
口からは血を吐き出し、目は虚、四肢に力は入らず時折痙攣を繰り返している状態です。もう彼に余命と呼べるようなものは残っていないでしょう。
「そうですね。きっと私が最後の生き残りです」
さようなら、皇帝。
私達を利用し、切り捨てた人。
こうして、私の復讐は終わりを告げました。
ああ、復讐とはなんと甘美で空虚な喜びなのでしょう。
飢えにも似た満腹感で満たされた私の心は深く、暗く、冷たく沈んでいきます。

少数民族チフス人、私に流れる血です。
その起源がどこにあるのかは知りませんが、私達は他者の毒となる体液を生成出来る種族です。外の人からは有毒人種なんて呼ばれて怖がられていましたっけ。
そんな私たちに目をつけたのが先の彼、帝国の初代皇帝です。
彼は私達を利用して帝国を築き上げ、そしてその力を恐れた彼自身が私達を切り捨てました。
命からがらその場を逃げ出した私は現在のご主人様に拾われ、メイドとして生活する傍らで帝国の上層部へ復讐する機会を窺っていました。
主人を騙したり脅したりはしていませんよ?曲がりなりにもメイドはメイドですから。
むしろ、私をチフス人だと知ったうえで雇い入れたちょっと奇特なご主人様の方が復讐に乗り気だったので驚いたくらいです。
ですが、そんな復讐も終わりました。
私もそろそろ向こう側にいる仲間達の元へと向かうべきでしょう。
私達はきっと滅ぶべくして滅んだのです。私自身も例外ではありません。
「あの、ご主人様?そのように近づかれては危険……いえ、ご主人様への害意など全くないのですが……その」
物思いに耽っている私にご主人様が近づいて来ました。
この人は一体なんなんでしょうか?前々から奇特な人だとは思っていましたがここまでとは。私のことが怖くないんでしょうか?目の前で人が死んでるんですよ?
「……は?もう一度おっしゃっていただけますか?」
聞き間違いでしょうか?きっとそうに違いありません。
「私、チフス人ですよ?本気で言ってますか?」
どうしてこの人はこの場で告白なんてするのでしょう。
「……はい、誓います。私、メアリーは一生を貴方の傍で添い遂げると」

追伸:同胞達へ
そちらへ向かうのはもうしばらく先になりそうです。
好きな人ができました。それと、子供も。
どうか見守っていてください。
メアリーより

呪文

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