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旅立ちの夜明け

使用したAI niji・journey
黄昏梟の補給部隊として、各地に支援物資を送り届けていたチヨ。
蝉時雨のように容赦なく降り注ぎ、耳の奥にこびり付いて離れなかった銃声と喧騒が、ふいに止んだ。
にわかに静けさを取り戻した空に違和感を覚え、チヨは顔を上げる。同時に、キャンプで渡された通信機から、帰還の指示が飛んできた。

(まさか、負けちゃったのかな…?)

しかし、辺りに広がる夏底の世界は平和そのものだ。他の補給部隊のメンバーの顔にも、悲しみの色は見られない。
疑問に思いつつも指示に従いキャンプに戻ると、そこはすでにお祭り騒ぎであった。
終末事変の原因のひとつとなった”神の繭”も、それを護衛していた脅威の存在”アノマリィ”も、量子テレポーターによって深宇宙に消えたというのだ。

事態を飲み込めずに呆然とするチヨに、遠くから声を張り上げ駆け寄ってくる者がいた。
白衣に身を包み、四角い機械を背負った女性――ルースト005で記録端末を託した、あの女性研究者である。

「良かった、すぐ見つかって。あなたから預かった端末、解読できたわ!
 …何が書いてあったと思う? すごいわ! 大発見よ!」

笑顔で握手を求める研究者。次々と起こる予想外の出来事に、いまだ呆然としているチヨの耳に、そっと囁かれた言葉。
同じように笑顔になった彼女は、差し出されたその手をしっかりと握り返すのだった。

***

明くる朝、鮮やかに染まる丘の上に、チヨは立っていた。
目の前には、彼女がこれから乗り込むことになる巨大な飛行機械と、あの研究者の姿。
チヨがフラットランドで拾った日記。修復されたその本文には、終末事変の有力な手掛かりとなる情報が記載されていたのである。
黄昏梟としての活動が評価された彼女は、終末事変の真実とまだ見ぬ遺物を求めて世界を巡る探検隊の一員として招待されたのだった。

――もはや彼女を”雛鳥”と呼ぶ者はいない。立派な”若鳥”へと成長を遂げていた。

聞き慣れた声に振り返る。研究者である両親が、彼女を見送るために駆けつけてきた。
家族とあたたかい抱擁を交わしたのち、若きフクロウは船に乗り込む。
その瞳は、いつか来る文明の夜明けをしっかりと見据えていた。
_____

これにて私の晴天アポカリプスは一旦区切りとなります。
ロマン溢れる終末世界に心が躍り、かつてないほどに長文を連発してしまいましたが、ここまで見守ってくださった方々、そして、素晴らしい企画を開催してくださったスタッフの皆様には、感謝の気持ちでいっぱいです。

これからも、チヨは”うちの子”として夏底の世界で冒険を続けていきます。
また機会がありましたらお会いしましょう! 豊かな旅・豊かな道・豊かな夜を!

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