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HONDA NSR500 NV0B

使用したAI Dalle
本物と同じ絵にはどうしてもならねえんすが...

HONDA NSR500 TypeB、所謂のちに「フレディースペシャル」と呼ばれることになるマシンです。

1983年、革命的な3気筒NS500を駆って"キング" ケニー・ロバーツとの歴史的死闘を制し、当時21歳で史上最年少GP最高クラス優勝を果たした不世出の天才、"ファスト"フレディー・スペンサー。

"キング" ケニーの時代に続く"ファスト" フレディーの時代到来か...と思われましたが、翌年の1984年、HONDAは覇権奪回を狙うYAMAHA YZR500と"ステディ" エディー・ローソンの前に思わぬ苦戦を強いられることに。

その主な理由は、HONDAがシーズンに持ち込んだこれまた革命的な4気筒NSR500 タイプAの"斬新さ"にありました。

何とチャンバーの取り回しがシート真下を通過...というレイアウトは現代でこそ当たり前ですが、1980年代当時の排熱・耐熱技術と、何と言っても2ストロークマシンで「それ」をやることに無理がありました。

その年、フレディーはエディーを上回る4勝を挙げながらマシントラブルの連続に見舞われて年間ランキングは4位、チャンピオンの座をエディーに明け渡すことになります。

翌年、HONDAは技術的精神的には絶頂期を迎えていた天才フレディーに全てを賭け、新しいマシンを完成させました。

それが後世「フレディースペシャル」と呼ばれることになる、NSR500 TypeBです。

このマシンのレイアウトそのものは革命的でも何でもなく、実は平凡なものでした。チャンバーレイアウトも元に戻しています。

ただそのマシン特性の異様さは、高回転域を常用するフレディーに特化したエンジンセッティングにありました。

後に、フレディーの次にHONDAのエースになったワイン・ガードナーはフレディー用にセッティングされたこのTypeBを継承したマシン(1986年のTypeC)がどうしても肌に合わなかったようです。
(当時の大人気バイク漫画「バリバリ伝説」の主人公、巨摩群のライディングスタイルはフレディーがモデルになっており、高回転域の常用やドリフトを多用するスタイルなどもフレディーの再来のように描かれている。また彼専用に開発されたマシン「ガンボーイスペシャル」もまたフレディースペシャルを意識して書かれたもの)

またこの年、HONDAとフレディーは前人未到の領域に挑戦し、しかも達成しています。

500ccと250ccのダブルエントリーとダブルタイトル獲得です。

最高クラスにおける最年少優勝記録は後にマルク・マルケスによって破られますが、ダブルタイトルの記録は後にレギュレーションの改正もあり、(ルール変更がない限り)永遠に破られることのない空前絶後の記録になりました。

...しかし、この偉業が天才フレディーの最後の煌めきになりました。

原因は色々推測されていますが、何れにせよこの不世出の天才の輝きはわずか23歳で失われ、二度と輝きを放つことはありませんでした。

フレディー本人の言から推測されることは、"キング" ケニーが去った後のGPシーンにおいて彼はモチベーションを保つことが出来なかったのではないかという事です。

またダブルタイトルの達成感は、彼を完全に燃え尽きさせたとも言われています。

打倒フレディーに執念を燃やしたエディー・ローソンには全く気の毒な事ですが、エディーという人間に対しフレディーは何の感情も対抗心も刺激されなかったようで、エディーも後にフレディーについては「僕は彼のことは何も知らないんだ」と証言しています。

当時は宿命のライバルのように書き立てられ比較された二人ですが、現実の二人は不幸なすれ違いのまま、お互いに何を理解し合うこともない「完全な他人」のまま終わったのです。

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