にがて 虫苦手な人は注意⚠️
桜並木を歩く小さな少女。
「……パパ、どこ?」
人混みの中、ふと目を離した隙に親とはぐれてしまった。
辺りにはお花見を楽しむ人たちがたくさんいて、見知らぬ大人の背ばかりが目に入る。
不安で胸がぎゅっと縮まる。
「……とにかく、まっすぐ歩けばいいよね……」
そう思って一歩踏み出した、その時――
もぞっ
「……ん?」
目の前の桜の幹に、小さな生き物がへばりついていた。
黒と緑のふわふわした毛虫が、のそのそと動いている。
「ひっ……!!!」
少女は思わず後ずさり、ぐるぐる回るように逃げ道を探す。
でも、道のどこを通っても桜の木が並んでいて、そこにはたくさんの毛虫たちが……!
「や、やだ……どうしよう……」
目に涙がにじみそうになったその時――
遠くから、懐かしい声が聞こえた。
「……パパ……?」
少女は息を飲む。
そして、叫んだ。
「パパーーーッ!!」
声を頼りに駆け出す。
毛虫も、人混みも関係ない。
「パパーッ、パパッ!!!」
ようやく見えた、大好きな背中。
駆け寄ると、大きな手が優しく抱きしめてくれた。
「よかった、もう大丈夫だぞ。」
その言葉に、ほっと息をついた。
桜の花びらが、ひらひらと舞い落ちる
小さな冒険の終わりを告げるように――。
呪文
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