ススキ原の夢
どこまでも広がるススキ野原。
黄金色の穂が風に揺れ、柔らかく波打っている。
その中を、狐の女の子が駆けていく。
たまに振り返るその顔は彼女に似ている。
「待って」言おうとしても声がでない。
僕は手を伸ばして追いかける。
だけど、どれだけ走っても追いつけない。
それどころか離れていく。
突然 女の子が止まる。
そして振り向くと、寂しそうな顔をして静かに手を振った。
「バイバイ」
景色が彼女と一緒に消えていく。
目を開けると、天井の木目が見えた。
夢の事なのにかなりはっきり覚えていた。
彼女の顔が頭に浮かんで急に不安になってくる。
窓の外は夜が明け始めていた。
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物語のはじめ
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