古き妖「焔鱗」について

2023/10/02

使用したAI その他

シラクレナには古くから妖怪と呼ばれる不思議な生物が生息している。
その種類は多岐に渡り、人と共に暮らす者、人里離れて生きる者、姿形から操る術まで様々である。
そしてその中には、歴史の中にのみ存在する、かつて存在したとされる妖も多数存在していた。
「焔鱗」と呼ばれる妖怪は、とりわけ最古の時代から伝わる「古き妖」の中の一体である。

伝承を遡れば、数百年はくだらないという遠い昔から、その存在をにおわせる記述は幾つも在った。
時や場所によってその姿に多少の差異はあれど、共通するのは「巨大な狼のような体躯だが、龍のように固い鱗を持ち、鞭のようにしなる尾と、燃え盛る赤いたてがみを持っている」という点である。
しかし、長い歴史を持ちながらその記述は外観に関するものばかりであり、生態に関する内容はそもそも書かれていなかったり、損傷が激しく読み取るこのができないなどの理由で、殆どが解明されていない。

その異形の姿に、世の中は「畏怖の念を抱く者」と「畏敬の念を抱く者」の二派閥に分かれていた。
焔鱗を悪しき異形とする者による伝承は、
「焔鱗は地の底より燃え上がった炎の化身であり、この世の人間を焼き尽くす為に生まれた。
　しかし、人々を守護する神狐がそれを収め、再び地の底へ封印し、二度と目覚めないようにした。
　長く語り継がれているのは、その恐ろしさを人々が忘れないようにするため」
というものである。
一方、神聖なる強者だと考える者による伝承は、
「焔鱗は神狐に仕える忠実な僕であった。その生まれは神狐の狐火である。
　しかし、ある時神狐に反旗を翻した妖怪達の群れから神狐を守る為に犠牲となり、深い眠りについた。
　長く語り継がれているのは、その雄姿を人々が忘れないようにするため」
というものであり、両者は全くの反対の主張を繰り返している。
両者に共通することは「神狐」との関係が深いということ。遥か昔から人々の間で認識されていたことを考えると、そう考えるのも不思議ではない。

いずれかの主張があっているのかもしれないが、どちらも見当はずれなものかもしれない。
何にせよ、もはや存在しない妖のことを議論したところで、答えは決して出ないのである。

……しかし、この妖怪が実在し、真に神狐と関係するのであれば、「神狐」のお告げにより世界が動乱する今、再び目覚めても不思議ではないのかもしれない。

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