#9 死後チートライフ

2025/04/09

使用したAI Stable Diffusion XL

《死後チートライフ》第9話：もう一度、夢を
リオは中継ステーションのベッドに腰掛けていた。
鼓動は激しく、額には冷や汗がにじんでいる。
「……戻ってきたのか？」
彼は呟きながら周囲を見回した。
見慣れた白いスイートルーム。
窓の外には永遠に続く夜空。
そして、そばに立っていたのは――案内人のソフィア。
どうやら、彼の夢に合わせるつもりなのか、ソフィアは優雅なメイド服に着替えていた。
両手を前で組み、かすかな微笑みを浮かべてリオを見つめている。
「いかがでしたか、ご主人様。夢の世界は満足いただけましたか？」
「……全部見てたのか？」
リオは信じられないというように目を見開いた。
さっきまでの、きらびやかなセレブ生活の余韻がまだ頭に残っていた。
「もちろん。私はあなたの魂を導く案内人ですから、状態の監視は当然です」
ソフィアはあくまで淡々とした口調で答える。まるで、先ほどの出来事がただの午後のお茶会だったかのように。
「ってことは……ミアに甘えて抱きつかれてたところも？」
「見ましたよ。それに、"私たちの" 新婚初夜もね……」
「なっ……！それは完全にプライバシーの侵害だろ!?」
リオの顔は一気に真っ赤になり、頭を振って否定した。
ソフィアは微笑みを浮かべながら答えた。
「ここでは、そういう規則はありませんから」
リオはため息をつき、再びベッドにもたれかかった。
「……あの場所、また戻れるのか？」
その言葉を聞いたソフィアは、どこか意味深な表情を浮かべた。
「戻りたいんですか？」
リオは言葉に詰まった。
――思い返せば、あの夢から目覚めた理由も、あまりにも完璧すぎる生活に……退屈してしまったからだった。
「つまり、宗教で言われてる“天国で○人の処女と過ごせる”ってやつは、こういう夢のことか？」
思わず皮肉混じりに口に出してしまう。
「私はただ、システムの説明をするだけです。人間がどう解釈するかまでは興味ありません」
ソフィアは肩をすくめ、少し呆れたように言った。
そして続ける。
「多くの魂は、生前に満たされなかった願望や執着を抱えています。だからシステムは、夢の中でそれを満たせるよう設計されているのです」
「じゃあ……そのまま戻らず、夢に居座るやつもいるのか？」
「いますよ」
ソフィアは静かにうなずいた。
「夢の世界に溺れ、転生を望まず、永遠にそこで生き続けることを選ぶ魂もいます。でも、それは本人の選択。システムの安定性に影響しない限り、私たちは干渉しません」
「じゃあ地獄にも似たような仕組みがあるのか？」
リオの興味は尽きない。
「質問が多いですね。重要なのは――今、あなたはどうしたいのか、です」
ソフィアはピシャリと遮るように言った。
「夢を……別の夢を、また体験できるのか？」
「あなたにまだ執着があるのなら、何度でも体験できますよ」
ソフィアはにっこりと笑った。
リオはしばらく沈黙した。
自分の手を見つめながら、存在を確かめるように。
「……どれだけ完璧でも、夢は所詮、夢なんだな」
ポツリと呟いた後、ふっと笑みを浮かべる。
「でもさ、一度くらいチートな人生を楽しんでも、罰は当たらないよな」
彼はもう一度、ベッドに寝転び、手を後ろで組む。
「――よし、もう一回いってみようか！」
意識が薄れていく中、
彼の心には新たな夢のシナリオが描かれ始めていた。
次なる冒険に備えて――。

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