第一機械化歩兵(改)創設前夜
「しかし、創設前夜というのに仕事ばっかですよ」副官がビールを飲みながらぼやく。
「すまんな。しかし、お前がここに来てくれたおかげで準備期間が半年早まった。感謝している。」
この副官の父親は軍部でも上級職であり、かつ帝国内でも有力貴族である。
彼女の人脈を利用して予算獲得や機械化歩兵の人道的措置を進めている。
黒とは言えないが、限りなく黒に近いグレーゾーンで進めているので遠藤は彼女に全く頭が上がらない。
「少佐、あなた軍部内で何と呼ばれているか知ってますか? ゛お人形遣いの遠藤゛ですよ。」
「ああ、知っている。予算の無駄遣いともな。ただ、この部隊が実績を上げれば、人的損害は激減する。
機械化歩兵の脅威が抑止力になる。そのために、あえて情報公開してポスター広報活動もした。」
「まあ。私も実際に彼女らを見て戦闘能力に驚愕しました。中隊で大隊以上の戦力ですからね。」
「だろう? もっと褒めろ褒めろ。捨て駒部隊では余りにも惜しい。これほどの戦闘・諜報活動に使える部隊の
存在は秘匿せずに一部公開したほうが抑止力になる。既に機械化歩兵が出てきた段階で戦闘放棄した自治都市が
出てきているんだ。更に戦闘能力の高い部隊の準備もしている。」
遠藤はそこまで言うとビールを一気に半分飲んだ。既に顔は赤い。本当は下戸なのだ。
「殲滅か、降伏かですかあ。少佐はエグいっすね。」
「降伏しても機械化歩兵なら、通常部隊のように略奪や強姦などしない。規律正しく平民に接するし、見た目が女だから警戒も少ない。
事実、夜盗狩りの時に平民の評判がすこぶる良くてな。問題は、見事に全員殺しまったもんで事情調書が取れんかったことかな。」
少佐は、自分のことのように笑って言った。この人としては珍しい笑顔だと副官は思った。
この人の変なところは、やたら人的損害を嫌うことだ。実際に、今までの軍歴でも指揮した部隊の戦死者が凄く少ない。
彼が転任した直後に、全滅した部隊もあるのだ。副官と同じように、彼を慕って格下の中隊に異動してきた者は結構いる。小倉整備士軍曹もそんな一人だ。
「しかし頼みますよ。私は昇進を蹴ってここにきたんですからね。実績がないと父親から軍を退役させられます。政略結婚は御免ですからね。」
副官は、手元のビールを飲み干した。自分のジョッキに並々とビールを追加して、一気に空にした。
そして更に一杯空にする。しかし表情に全く変化はない。見掛けによらず彼女は酒豪なのだ。
「ああ、期待していいぞ。この部隊の再編制は戦争の方法を変える。生身の人間が最前線で戦うことは自殺行為と
される時代がくる。機械対機械の戦争に今後、絶対になる」
そう言うと遠藤は残りのビールを飲み干した。
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