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ヒーローの活躍によって邪神は討伐された。 世界に平和が訪れ、町はお祭り騒ぎとなっていた。



幼女はお母さんと一緒に公園に来ていた。

幼女は公園で黒いモノを見つけた。 そのモノは小さくてか弱くて、いじけていた。

「どうしたの? おなかがすいたの?」 少女は優しく声をかけた。

黒いモノは驚いて彼女を見上げた。
「俺は世界を滅ぼしたかったんだ」

「どうして?」 少女は興味津々に聞いた。黒いモノは目をそらした。

「世界は争いで醜くて、こんな世界は滅ぼしてしまえと思ったんだ」

「世界を滅ぼして一人ぼっちになったら、寂しすぎるよ」

「そうか、そうだよなあ。俺は何をやっていたんだろうな」 邪神は自らの行動が矛盾に満ちていたことに気が付いて不思議に思った。

「お友達になりましょう」 少女は笑顔で言った。黒いモノは赤面した。

「俺が…? お前の友達になれるのか? 俺は世界を滅ぼそうとした悪なんだぜ?」

「喧嘩をした後はねえ。仲直りするんだよ」

「そうか、そうだよな。俺もできるなら皆と仲直りしたい」

「ここには楽しいものがいっぱいあるの。私と一緒に遊んでみない?」

「遊ぶ? 俺は遊んだことがないぞ」

「じゃあ、私が教えてあげる。どれから始めようかな?」

「お前が好きなものを選んでくれ」

「うーん、じゃあ、あれにしよう。すべり台だよ」

「すべり台? どうやって遊ぶんだ?」

「こうやって、階段を登って、上に行って、滑ってくるの。楽しいよ」

少女は元気よく階段を登り始めた。 黒いモノは彼女の後ろからついていった。

少女は上に着くと、黒いモノに手を差し出した。「一緒に滑ろうよ」

二人はすべり台に座り、勢いよく滑り降りた。 風が顔を撫でる感覚。 空が目に飛び込む光景。 速度が体を揺さぶる衝撃。

邪神は初めて遊びの楽しさを知った。

「楽しかった!」 少女はすべり台から降りると、満面の笑みで叫んだ。

「もう一回やろう!」 邪神は少女の手を握りながら、驚きと喜びで目を輝かせて言った。

「うん! もう一回やろう!」 少女は邪神に同意して、再び階段を登り始めた。

二人は他の遊具も試してみた。 二人は公園で思いっきり遊んだ。 二人は笑顔で満ちた。




少女はその黒いモノが世界を破滅に追い込もうとした邪神だとは分かっていなかった。 だけど少女のけがれなき純粋な気持ちが邪神の心を動かし、世界に平和をもたらしたのだった。

邪神は穢れを洗い流して、神に戻った。

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