あの背中に憧れて
歌舞伎は10年以上前に何かの本でちらっと読んだことがある程度で詳しくありません。
内容に不備や間違いも多いと思いますが、暖かい目で見てやって下さい😅
せいぜい高校で大道具専門で。特に演技を勉強してないとはいえ演劇部だった程度のにわか駄文です。
俺の脳裏には今も忘れられない背中がある。
幼い頃に見た偉大過ぎる父の背中だ。
天才、鬼才、様々な名で呼ばれた父。
幼い俺を置いて夭逝した父。
梨園に生まれた者の宿命として幼い頃よりこの世界一筋に生きてきた。
友人との遊びなんてものに憧れたこともあった。でも、視線、指の使い方、立ち方…覚えること。
覚えなければいけないことはいくらでもあった。
辛い時はあの父の背中を思い出し、わからないことは父の背中から学んだ。
やがて俺も舞台に立つようになったが、あの背中を追い越せる気がしない。
それでも足掻くしかないのだ。
偉大な父の背中を護るために。
あの背中が忘れられていくのは仕方がない…
なんて思える程俺は大人にはなれそうもないのだ。
だから俺が魅せるのだ。
あの背中を。
不甲斐なくとも、あれ程の才能がなくとも。
やがて俺も父になった。
俺は良い父ではないかもしれない。
父がそうであったようにこの背中を魅せるしかできない。
しかも、こんな父の足元にも及ばない背中をだ。
俺は学び続け、あがき続けるしかない。
一生勉強だ。
一歩でも、半歩でも前へ進めるように。
だが、最近は思うのだ。
父のような才を持たぬからこそ出来ることが有るのではないか?
神にその才を望まれ、早く逝ってしまった父。
才を持たぬからこそ神に望まれぬ俺。
ああ遠いな…
成長すればするほどその遠さが実感できる。
まあ良いさ。
きっと俺に残された時は長い。
俺が届かぬとも、きっとこの子が越えてくれる。
それだけの輝きを見た。
ああ、神よ。
歌舞伎の神よ。この子の才を望まないでおくれ。
きっとたどりついて魅せるから。
才無きものにしか出来ぬ背中に…
だからどうか…
蛇足の先代の遺言
ーああ、俺は素晴らしい宝を得た。
俺はこの人生に悔いはない。
俺にも親父にも無かった努力する才能。
そんな素晴らしい物を持った息子に恵まれたのだから。
ああ、この子が成長したす…がたを…み…たかった…
呪文
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