にゃん娘との出会い
しとしとと降りしきる雨の音。
放課後、傘をさして帰る途中の道端で、少女はふと足を止めた。
濡れたダンボールの中、小さく丸まるようにして動かない猫。
「……大丈夫?」
そっと傘を傾けて、震える小さな体を抱き上げる。
冷たくなっていたけれど、かすかに息をしていた。
――その晩。
自分の部屋に毛布を敷いて、温めて、ミルクを用意して。
猫はずっと眠ったままだったけれど、少しずつ呼吸が落ち着いていった。
「……生きてて、よかった……」
少女は安心して、そのまま猫のそばで眠りについた。
――そして、朝。
「……ん、んぅ……」
誰かの声で目が覚める。
「あの……おはようございます?」
目をこすると、そこには……
長い桃色の髪、ふわふわの耳、尻尾、そして人間の姿をした――猫の少女がいた。
「えっ……ええええええええ!?」
「えへへ、助けてくれてありがとう。あたし、ほんとは人の姿にもなれるんだ。けど……長いこと忘れてて……」
猫耳の少女は、ちょっと照れたように笑う。
あの冷たい雨の日の出会いが、まさかこんな不思議な朝を連れてくるなんて。
呪文
入力なし
コメント
コメントをするにはログインをする必要があります。