運命のlightning strike
ヒノメが目覚めワタツメがまだ眠っていた頃、フェンテスの空は晴れているにもかかわらず激しく鳴り始めていた。
暫く続いた雷鳴の後、フェンテスの首都の近くに一閃の落雷――
そこには特に重要施設や居住区は無かったが落雷跡からの異常なエネルギーの発信が止まず、またそのせいかそのエリア一帯の通信が遮断されドローンも飛べない状態で確認の術が無かったため調査隊が派遣された。
「なんだこのクレーターは」
「首都に直撃しなくて良かったぜ……ん? 中心に何かあるぞ?」
到着した調査隊は首都に直撃しなかったことへの安堵と眼前に何があるのか解らない恐怖を抱きながら各種計測機器を構えながら、慎重に進んでいった。
近付くにつれて中心部にあるそれのシルエットが少し見えてきたことで恐怖感が薄れ歩みの速度を上げ、到達した中心部。
「おいおい、落雷が直撃したのかこれ」
「それだと流石に生きてはなさそうだが……おい、今動かなかったか!?」
「そんな馬鹿なっ、バイタルサインは微動だにしてない――ぞ?」
調査隊の隊員達があれこれ話してる間に中心部のそれは――
「――ったたぁ、着地失敗してしまったよ。って、あれ? 君達だれ?」
むくりと起きたかと思うと何か喋り始めた。
フェンテスの調査隊は最初何を言っているか解らなかったが、防護服のヘルメットにある翻訳機能を試したら翻訳出来たためこちらからも話し掛けてみることにした。
「こちらの言葉は通じているか? お前大丈夫なのか?」
「え?」
「落雷直撃したんだよ。無事なのがそもそも奇跡的だが傷一つないのはいったいどういうことだ」
調査隊員達の目の前のそれ――見た目はフェンテスの人々に似た女の子だったそれはこう答える。
「え? だってボク神サマだもん。着地失敗して地面に激突したくらいじゃびくともしないよ!」
と、無邪気に笑った。
本人がこういう以上バイタルサインが無いのも機器の故障だろう、と判断せざるを得なかった調査隊員達は自称神サマのこの女の子を一先ず首都のメディカルセンターに連れていくことにしたのだった。
首都に着いた瞬間、驚く女の子。
「なにここ! 凄い!!」
「そりゃあお前フェンテスの首都だぞ? 凄いに決まってる」
付き添いを任された調査隊の男がせわしなく動いては歓声をあげる女の子の背中を押してメディカルセンターを目指していた。
女の子はどういう訳か常に放電していて機械化を受けてた多くのフェンテスの民にとっては迂闊に手を引いて歩くことも出来ないため、背中を少しずつ押していくしかなかったのだ。
そうこうしてるうちにフェンテス守護の象徴の像があるメディカルセンターに到着。
「話は既にセンターに通してあるからお前は取り敢えず精密検査を受けてこい」
「?? ボク別にどこも悪くないんだけどなあ」
「はあ……ところでお前の名前まだ聞いてなかったな、俺はフェーン」
「ボク? ボクはメヅっ、雷の神サマ!」
またしても無邪気に笑う女の子――メヅは握手しようとして手を伸ばしたところで自分はフェンテスの人達には今のところ触れないことを思い出し、代わりにフェーンに手を大きく振って精密検査を受けに近くの部屋に入っていく。
その検査でも結局異常は見付からなかったがメヅの放電は止められないが強弱のコントロールは本人の意思で可能で、しかも放電の出力上昇については上限が無い可能性が高い――ということは解ったらしい。
「メヅ、お前本当に何者なんだ。取り敢えず触れても大丈夫なくらいには放電弱めてくれたが出力の上限が無いっていうのは今のフェンテスでもまだそこまで出来ないんだぞ?」
「だから言ったじゃん。神サマだって」
「ハイハイ、そうでしたねっ。神・サ・マ」
そこからはあっという間だった。
放電出力無限に目をつけたフェンテスのトップはフェンテスはここでの待遇を約束する代わりに国内に居る間で良いからたまに発電所で発電の補助をして欲しいと頼まれたこと。
発電所内でメヅを普通に触れる人が居たこと。
その人と仲良くなったこと。
友達も数人出来たこと。
今は蓄えた分しかないフェンテスの水は美味しかったこと。
――こうしてメヅはフェンテスに馴染んでいった。
そこから数日のこと。
「この感じはヒノメ姉さん…?」
フェンテスはまだ誰も気付いていない、何も観測出来ていなかったがメヅだけは感じていた。
「あともしかしてワタツメ姉さんも来てる??」
フェンテスに迫るヒノメと近くに来ているワタツメの神気を。
そして、解っていた。ヒノメは自分には止められないがワタツメなら止められることを――
※全て違う容姿のように見えるメヅであるが、全て同一のものであり違うく見えるのは見た人の心によって姿形が変わるから(という設定妄想)
呪文
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