私の名前は貝柱満狐、読み仮名を付けないのは、センシティブ判定を食らってしまうかららしい。だけど私はこの名前を気に入っている。
好きな物はキツネうどんに海老天がのったやつが好きなのだコン♪
嫌いなものは、うーん、特にないコン
反対にもっと好きなのは皆の持ってる漲るような魂が好きなこと!
だから、今回も面白そうな参加者たちがいっぱいで楽しいんだ
「わっ、たくさんのキンタマがいっぱい!」
「満狐ちゃん、恥ずかしいよ」
頬を染めるこの人は常連さん、
いつも、疲れたような顔をしてくるから、
私の母性が刺激されるのだ。
〈キャラ〉貝柱満狐
狐耳族、
ニャワバリの中で薬屋を営む
それは、あくまでも表の顔、
裏の顔は、怪盗キンカとして
世界をまたにかける義賊なのだ。
悪しき心の富豪すらも、
彼女のテクニックで身も心も虜にされる。
キンカファンクラブができるほど、
今回もキンカもとい、満狐のために
馳せ参じた。
「みんな、ありがとう、満狐のためにきてくれて、思わず自主規制」
彼女はハレンチであり、人々の心を、それも球を持ちし者には、メロメロにさせる効果があった。
「それじゃあ、今回、私が持っているのは、このゴールデンボール」
ボールを掲げる満狐、
「今は一球しかなくて、これを壊されたり、破壊されると失格になっちゃうんだよ」
「そんな!満狐ちゃんを悲しませたくないよ!」
ファンたちは金の球を取り出す
「ありがとう、皆」
「私が大金をはたいて買ったゴールデンボールだ受け取りたまえ」
「悪の富豪さん、サンクス!大好きだよ、コン♥️」
「心がコンコンするんじゃあ」
荒んだ闇を照らす狐は皆にとっての女神だった。
彼女のスキルは『金コンキュンコン』
自分の持ちし球にパットをぶつけることで、自分のカワイイで幸せにさせる効果を及ぼす。その音を聞いた者たちは、荒んだ心であればあるほど、浄化させ、「心がコンコンするんじゃあ~!」と言葉を発して満足させるのだった。
まさしく、カワイイの女神なのだ。
ファンクラブができるのも、
『金コンキュンコン』の産物だ。
「じゃあ、僕も今すぐ買ってくるよ」
「常連さんはいいコン」
「でも…」
「私の方も元気もらってるから」
そして、頬に軽くキスをする。
「えっ、えと、あのこれは」
「私の気持ち」
満狐はゴルフ会場へと駆けてゆく。
(私の気持ち、私の気持ち、私の気持ち)
頭の中で逡巡するその言葉に、
常連さんは頬を真っ赤にそめて立ち尽くした。
「満狐しか勝たん、俺は満狐を応援するぞぉぉー!うぉぉー!」
ファンの方々と一緒に応援するのであった。
試合が始まる。
参加者たちの瞳の色が変わる。
見た目は子供ですらも、戦闘狂いの表情へと変え、参加者たちの中には返り討ちにあったものすらもいるという…
「満狐ちゃんをどうかお守りください神様」
「狐耳にゃりか!」
「シズク、貴方も参加してたコンね」
「そうにゃり、そして、優勝は私がかっさらうにゃり」
「退けないということね」
「満狐こそ、愛する人のためにって、顔してる感じにゃりね」
「えっ?わかるコン?」
「うん、私も大好きな人がいるからわかるにゃ」
「そう、照れるコン…」
こうして、狐耳の満狐と猫耳のシズクはガールズトークに花をさかせた。
「コココ、シズク、本当に視点くんのことが好きなのね」
「他に狐耳がいたときは、ぶったおしてやろうかって思ってたにゃり」
「参加してるのかな、あの狐も」
「視点くんは渡さないにゃりよ絶対に!あの狐には」
シャアー!と威嚇する表情、
シズクと視点くんは、人生のソウルカップルだったのだ。
「私もそういう好きな人ができたからな、他の娘と付き合ってたら嫉妬しちゃうコン」
「もし、浮気とかしたら、こらしめてやるにゃり」
「ありがとう、そのときはよろしくコン」
満狐とシズクは、敵ではなく、仲間としての意識が芽生え
「一緒に戦ってもいいにゃりか?」
「えっ?いいの!」
「うん、満狐は視点くんではない別の誰かを愛してるのがわかったからニャ」
かくして猫耳、狐耳は共闘する。
白髪のシズクと金髪の満狐は、
他の参加者たちとバトルを繰り広げる。
「喰らえ!タママシンガン!ズドドド」
「ここは任せて、『GTW』っ!」
領域が展開される。
この場には、中心に三つの黄金の球しかなく、満狐を覗いた球は、白へと変化してゆく。領域内で具現化したゴールデンバットを手に球を混ぜる
「三金を以て玉と為す、満狐以外は白玉と化して消滅せよ」
味方識別のために言葉を書き換えた。
タママシンガンを使ってきた人物の金球が次々と白へと変わる。
「わっ、僕の球がぁー!」
加えて内部の玉にまでも反応したようだ。
周りのものが脱落する。
「すごいコンねシズク」
「これぞ、不殺をもって、脱落させる。このゲームはいかに相手を退けるかが大事なのだと理解するニャ」
シズクは不敵に笑う。
その顔はいつもののほほんとした、者とは違うザワザワ的な顔だった。
「でも、これは、1度発動したら1時間は使えないニャリ」
「だから、隠れていたコンか」
「そうそう、それで、強力な敵以外、満狐のスキルでどうにかしてほしいニャ」
「うん、わかった」
幸い、ファンクラブの皆からもらった球がたくさんある。収まりきらなくて、中山田製の四次元ポーチを買ったほどだ。
「さぁ、勝ち取るにゃり」
「うん!」
すると、そこに金休がやってくる。
「あいつは!探偵と名乗る殺人鬼にゃ!」
「聞き捨てなりませんね。僕は探偵として、反抗するものを返り討ちにしてるだけ」
(ただらならぬ殺気!)
満狐は身構える。
今、目の前に対峙する彼、
金休さんが他の選手とは一線を隠す存在、
そうだ、彼が…
だが、彼女の瞳孔を、金休は見逃さなかった。
「あなた、もしかして…」
(怪盗だとバレたのか)
バレれば何をされるかわからなかった!
故に彼女は!
「やられる前にやってやんよ!」
満狐は自分の球をパターで鳴らす
『金コンキュンコン』
「聞いてください!私の歌」
『キンピカポクポク』
「僕がさせないよ」
だが、キンピカポクポクはその領域をもって制することができなかった。
「何!」
焦る金休…
そう、『キンピカポクポク』の発動効果は
空間内での戦闘行為は禁止され攻撃系は無効化できるが、彼女のスキルは魅了するものだった。
故に、金休は焦る、
「第2の力すらも発動できないじゃないか!」
自身の能力の欠点に自ら、気付き、
地面に拳を叩きつける。
悔しい…!悔しい!
だからこそ、貝柱満狐は
怪盗として、探偵の心の闇を晴らす!
「シズクちゃんも歌ってくれるかな」
キンのマイクが手渡される。
彼女の領域内では金球がマイクへと変化するのが領域武器らしい。
「いきます、あなたに届ける最高のカワイイを」
『コンコン、キンカでカワイイ!』
https://suno.com/song/4b51b8df-585c-483d-ade6-3838e583ab30歌い終わると、心臓はぐっと熱くなっていた。
そして、金休は、拍手を送る。
「僕の負けだ、この球をあげるよ」
「えっ、でも、これは」
「僕は罪を、正義の名の元に殺してきたから報いは受けるよ…最後に…君たちの歌には救われたよ」
刹那、黄金の球が金休の脳天を貫き、和尚もその弾丸で死んだ。
「対象の排除を確認」
周りには特殊部隊の人々がきて、
彼らを回収する。
緑の大地に赤く染まる血、
空には雨が降りしきり、曇天の中で彼女は泣いた。探偵と怪盗、彼らは敵同士であったが、心の中では友達になれたかもしれないのだと思うと、世界は残酷で、虚しいもの…。例え、時間をかけれども、人にとっては路傍に転がる石の如く、軽く爪先で蹴られてしまう。虚無にまみれた、理不尽の集合体…。この地球という空間が満狐たちには存在することに頭を抱えずにはいられなかった。
「そ…そんな…だって、だって、うっ」
「私がいるにゃり、だから、今は…うん」
沈黙の涙が溢れる。
キンタマゴルフ…は戦場と駆け引きに溢れていた。