ガチャ。研究室のドアが開き、先輩研究員が入室
先輩「後輩ちゃん、おーはよっ」
後輩ちゃん「あ、先輩。おはようござ――わあビキニっ!?」
先輩「後輩ちゃん、今日は爆速退勤するわよ!」
後輩ちゃん「……え?」
先輩「さっ、ちゃちゃっと仕事した体(てい)を作って午前帰宅よっ!」
後輩ちゃん「えっと、ちょっと言ってる意味が…… "仕事したてい"を作る? えっ、先輩、今日仕事しないで帰る気ですか!?」
先輩「ええ、そうだけど?」
後輩ちゃん「うわぁ……。『それがなにか問題でも?』みたいな顔ー……。どうしてそんなに清々しくゲスれるんです? これが厚顔(こうがん)というやつなのね」
先輩「誰がキン〇マよ、失礼な後輩ね」
後輩ちゃん「そっちの睾丸(こうがん)じゃないッ!!」
先輩「ということで、後輩ちゃん。これから研究結果の捏造(ねつぞう)をするわよ♪」
後輩ちゃん「な!?! 捏造?! 先輩、笑顔でなに言ってんですかっ!! (😉ンフ)なんのウインクです?!」
先輩「あたし、どうしても今日は爆速退勤したいのよ。でも研究結果は出しとかなきゃでしょ? あ、捏造っていってもあれよ? それは後日きれーいに破棄(はき)するから、なーんも問題なし」
後輩ちゃん「無駄な仕事つくるだけじゃないですか!? 一時的とはいえ、研究所が研究結果の捏造なんて、いけません!!」
先輩「んもー……。クソ真面目な後輩ねぇ」
後輩ちゃん「クソは余計です」
先輩「んもー……。ゲロ真面目な後輩ねぇ」
後輩ちゃん「わたしの真面目を汚さないでください」
先輩「あーあ、こんな後輩を持って、あたしってば辛い(泣)」
後輩ちゃん「そのフレーズそっくりお返しします(冷)」
先輩「……ああ、そうね。後輩ちゃんはまだおこちゃまだから、わからないのね。だってまだ、陰〇さえ生えてないんだものね」
後輩ちゃん「いや〇毛はすでに生えてます。脇からも絶えることなく生えてきますし、ってなに言わせんですか、この下ネタゲス先輩は。始業開始2分で下ネタ2発ぶっこまないでください」
先輩「後輩ちゃん。大人になるとね、"した体"が時に必要になるの。それが大人になるってことでもあるの。だから、ね? 今日はあたしといっしょに、"仕事した感"つくろ?」
後輩ちゃん「い・や・で・すっ! やるなら一人でやってください」
先輩「ふぇ? あたし……一人で? そんな、後輩ちゃん……あたしを見捨てるの? そ、そんな……うっ、うっ……びぇーーーーーーーん!!」
後輩ちゃん「なっ?! 泣いた!? 大の大人が泣いた?! え、号泣?!!」
先輩「びぇーーーーーーーーーん、えんえんえんっ!! びょえーーーーーーーん、えんえんっ!!」
後輩ちゃん「ちょ、先輩っ、あの、大人の号泣はマジ引くんでやめてくださいっ」
先輩「ンピョーーーーーーーーーッッ!!!」
後輩ちゃん「ンピョーーーってなんですか?!! どういう感情ですか、それ?!!」
先輩「やーだっ、やーだっ!! 一人で捏造するのやーだっ」
後輩ちゃん「こどもか!」
先輩「いっしょに捏造したいっ、後輩ちゃんといっしょに捏造したいっ」
後輩ちゃん「なんちゅう駄々のこね方ですかっ! どんなこどももそんな犯罪臭ただよう駄々こねませんよ!? わあわあっ、お鼻の汁がお胸に垂れてますよう!?」
先輩「これは鼻水じゃないっ。よだれよっ!」
後輩ちゃん「どちらにせよ今すぐ拭いてくださいッ!」
先輩「ひぐっ、ひくっ……なんて強情な子なのかしら」
後輩ちゃん「違います。ただ良識があるだけです」
先輩「こうなったら正直に言しかないようね」
後輩ちゃん「ん?」
先輩「あたしね、明日から夏休みなの」
後輩ちゃん「ええ」
先輩「で、今日の12時に成田発グアム行きに乗らなきゃいけないの」
後輩ちゃん「え、でもなぜ今日の12時に?」
先輩「あはは、それがね、勘違いしててさ、あたし今日から夏休みだと思ってたわけ。それで飛行機のチケット取っちゃったってわけ。だけど夏休み明日からでさあ、それ気づいたのおとといでさあ、もーびっくりしたよね、あはっ」
後輩ちゃん「……」
先輩「ということで、後輩ちゃん。これでわかってくれるわね?」
後輩ちゃん「ん゛ん゛ーーーーーっ、わかるかあぁぁああああーーーーッッ!!!」
先輩「ひぃーーーーーん!!? 後輩ちゃんが怒鳴ったああ!?!」
後輩ちゃん「仕事を始めますよっ! 先輩はまず、そのグアム到着しちゃってるボディをなんとかしてくださいっ!!」
先輩「ぴえん」
※先輩はしっかり12時の飛行機に乗って飛んでいきました。