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【マタタビ】13.メイドたちの決意

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(前の話)
【マタタビ】12.越夜隊の監視
https://www.chichi-pui.com/posts/6e5ceb03-2320-45a7-8c14-ea386b986608/
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 ニューオオスにあるメイドカフェ“ポームム”の店内、閉店後の薄暗いホールにメイドたちが集まっていた。メイドたちに囲まれ、その中心のソファーに座っていたラポームは、メガネを外して立ち上がり、メイドたち一人一人に現在の状況を確認する。

「プラタノさん、フラットランドで“物資”の確保はできましたか?」
 プラタノと呼ばれた、黄色の髪をポニーテールにしたメイドが前に出て答える。

「はい。暴走したドローンの制圧やその影響で崩れた瓦礫の撤去など、人助けをしておりましたが、助けた人々からお礼として、食料や医薬品をご提供いただきました!」
「人助けとは、あなたらしいですね。ご苦労さまでした」

 プラタノは、両腕でガッツポーズをして、一歩下がる。

「ウーヴァさん、ニューカナヤマでの“エネルギー”確保は、どうでしたか?」

 ウーヴァと呼ばれた、紫色の髪をツーサイドアップにしたメイドが前に出て答える。

「はい。私としたことが、暴走した機械兵器に少々手こずってしまいましたが、予定どおり、超高効率発電施設のコバルトジェネレータを確保しました。故障しておりましたので、その場で修理しておきました。これで、エネルギーの心配はございません」
「さすがです。あなたに頼んで正解でした」
「お褒めに預かり、光栄です」

 ウーヴァは、胸に手を当てて一礼する。

「メローネさん、ニューナゴヤドームの“制圧”はできましたか?」

 メローネと呼ばれた、緑色のふわふわしたロングヘアーのメイドが前に出て答える。

「はいー。テクノハッカーさんたちが牛耳っていましたが、お願いしたら、明け渡してくれましたー」
「相変わらず、あなたの交渉力は素晴らしいですね」
「えへへー」

 メローネは、褒められて嬉しそうに照れ笑いをする。

「シルエラさん、ニューオオスでの“情報”収集はどうでしたか?」

 シルエラと呼ばれた、ピンク色の髪をツインテールに結んだメイドが前に出て答える。

「はい。旅人たちの間で星の樹の噂はかなり広まっておりました。ですが、ほとんどの旅人は、好奇心で動いており、争うリスクは少ないと思われます。むしろ、積極的に協力するのが得策かと」
「ええ、そうですね。特にシロさんとクロさんには、私も期待しています」

 シルエラは、ラポームの意見に頷き、話を続ける。

「一方で、黄昏梟は星の樹の噂話だけでなく、“神の繭”についても、既に何かを掴んでいるようでした」
「さすがと言うべきか、侮れない方々ですね。ですが、彼らの目的は文明の再興のはず。対立する可能性は低いでしょう。となると、やはり問題は越夜隊ですね……」

 ラポームは、深刻そうな顔をする。

「はい。越夜隊は、神の繭の封印を解くために暗躍していると考えております。ですが、越夜隊の動きについて、確かな情報はほとんど得られておりません。申し訳ございません」
「いえいえ、あなたのせいではありませんよ。彼らが一筋縄ではいかないということです。引き続き警戒をお願いします」

 一通り確認を終えたラポームは、メイドたち全員を見渡して言った。

「皆さん、本当によく頑張ってくださいました。これで、できる限りの準備が整いました。間もなく、予言の時が訪れます」

 ラポームの言葉に、メイドたちの緊張が高まる。

「明日から、戦いのステージは、次の段階に移ります。私たちは選択しなければなりません。過去の思い出に縛られるのか、新しい未来への一歩を踏み出すのか……」

 ラポームは静かにメイドたちを見渡し、深呼吸をした。

「物資もある、エネルギーもある、情報もある。後は、私たちの戦う意志だけです」

 彼女の目には決意が宿っていた。

「ここからは、とても危険な戦いになります。私は、皆さんに戦いを強制はしません。共に戦うか、ご自身で判断してください」

 そう言って、しばらくメイドたちを見守る。

「その上で、私と一緒に戦ってくださる方は、その意志表示として、一歩前に出てください」

 数秒の間、誰も動かなかった。しかし、やがてシルエラが一歩前に出た。続いて、次々と他のメイドたちも前に進み出た。ラポームは微笑み、彼女たちの決意を感じ取った。

「ありがとうございます、皆さん」

 ラポームは感謝の意を込めて言った。ラポームの言葉に応えたメイドたちは、互いに力強い視線を交わし合った。彼女たちの中には、恐れや不安もあったが、それ以上に強い決意がみなぎっていた。

「それでは、明日の作戦についてお話しします」
 
 そう言って、ラポームはメイドたちに指示を出す。

「プラタノさん、ウーヴァさんは、戦える者たちを集めて、スカイペネトレイターに向かってください。来たる戦いに備えて、文明崩壊前の遺産である“奇跡の残響”を手に入れるのです。ただし、あそこの超高層建造物群の防衛システムは未だ健在ですので、気をつけてくださいね」
「かしこまりました」

 プラタノとウーヴァは、声を揃えて一礼する。

「シルエラさん、メローネさんは、最悪の事態を想定し、ニューナゴヤの住人たちを、ルースト005に避難させてください。あの地下シェルターなら、大勢の人が生き残れるでしょう」
「かしこまりました」

 シルエラとメローネは、声を揃えて一礼する。

「現場での判断は、あなた方にお任せします。“旅人”や“黄昏梟”とは、出来るだけ協力関係を結んでください。そして、くれぐれも“越夜隊”には、気を付けてくださいね。場合によっては、脅威を排除して構いません」
「かしこまりました」

 メイドたち全員が声を揃えて返事をする。ラポームは、メイドたち全員を見渡して言った。

「私たちは、崩壊前の世界で、ご主人様やお嬢様方に雇われ、お屋敷を守ってきました。そして、終末事変で主を失い、お屋敷を失い、居場所を失ってしまいました……」

 ラポームは、静かに目を閉じる。

「ですが、今、このポームムが、私たちの新しい居場所です。この店に、ニューナゴヤの新しいご主人様やお嬢様方が、毎日ご帰宅なさいます」

 ラポームは、続けた。

「私たち、バトラー型シンカロンは、有事の際の“潜在的脅威に対する実行力”を有しております。今がその、有事のとき。ご主人様を守り、お嬢様を守り、そして、このニューナゴヤを守りましょう!」

 ラポームが気勢の声を上げると、メイドたちもそれに続いた。その声は力強く、決意に満ちていた。

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(次の話)
【マタタビ】14.ルースト005の大穴
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