今日は何の日?
朝、着替えていると彼女が突然そんなことを聞いてきた。何だかウキウキした様子だが、ちっとも見当がつかない。
(付き合い始めた日?違うな、誕生日でもない、何かのイベント……?)
額にじわりと汗がにじむ。
(だめだ、思い出せない!!)
うんうん唸っていると、彼女がシシシと笑って口を開いた。
「正解は……エイプリルフール!」
「……は?」
「記念日っていうのは嘘」
ぽかんとする僕の頬を、彼女が楽しそうに両手で包み込む。
「ごめんごめん、お詫びにぎゅーってしてあげるから」
そう言って彼女は裸のまま抱きついてきた。僕はしばらく呆然としていたが、ふっと力が抜けると彼女の背中に腕を回した。
「……もう、びっくりさせないでよ」
「ふふん、私の勝ち~!」
得意げに笑う彼女。
こうして、僕らの新年度は平和に幕を開けたーー
呪文
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