徳川珠姫
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Dalle
現代、前田珠姫と呼ばれることが多いですが当時は夫婦同姓の制度などないので、当時そう呼ばれていた訳ではありません。
ともあれ、現代に至るまで金沢では大変愛されている人ではあります。
理由は色々あれど、要するに徳川の姫であるよりも前田利常の妻として生きた人だから、そして、その板挟みの犠牲になって非業の死を遂げたという点に尽きるようです。
蛇責めの一件は、荒唐無稽な作り話のようで実は複数の資料にそれに近い記載があり、件の侍女はそれで殺される前に自害した説もありつつ、完全に虚構の産物でもないようです。
(※一方、姫の夫への愛の深さを示す逸話として有名な秀忠へ夫の帰国を願う手紙の一件は信憑性が怪しいようで、史料の出典を追っていくと、Wikipediaやネットに流布している通説はどうも史料の拡大解釈...話を盛った節も)
何にせよ、前田利常の怒りと憎悪は無理からぬことでもあり。
しかし問題の侍女は、何だって姫が長じて利常との間に何人も子を成した後になってから、そんなことを姫に強いたのか。
普通「ああいう事」は、やるならやるで姫が幼少期から叩き込んでいるのが普通で、それならそれでもっと早い時期に問題は顕在化していた筈です。
姫と利常のラブラブっぷりは何もあの時期になって始まったことではなく、それまで約10年間毎年のように出産を繰り返していたのですから、徳川の姫が家来筋の外様大名とラブラブなのが気に食わんというなら、問題の侍女はそれ以前から妨害を開始している筈で、通説をそのまま受け取ると大変不自然なのです。
姫は利常が会いにこなくなっただけで物も食えぬほどに神経をやられて衰弱死した...という位夫を熱愛していた訳で、そうだとすると、侍女の妨害は最後の子である夏姫出産の時期まではなかった可能性が高いです。
(もしそれ以前にあったら、珠姫の精神はその時点でやられていた筈である)
故に問題の侍女の横恋慕説など異説が存在するのも、一理あります。
そもそも侍女の行動は、徳川家の利益にすらなっていません。徳川家は前田家を敵に回したくないからこそ珠姫を送り込んでいる訳で、珠姫と利常が疎遠になったり不和に陥ったりした処で、徳川家に何の利益もないのですから。
だからこそ後に利常から件の侍女の処刑の許可申請があった時にも、秀忠はこれを許したのでしょう。
ともあれ、この姫あって後の加賀百万石が安泰となったことは間違いありません。
姫が産んだ前田光高が家督を相続しますが、つまり秀忠にとっては外孫であり、家光にとっては甥です。徳川家としては粗略に扱う筈がありません。更にその光高は水戸徳川頼房の娘を家光の養女格で妻に迎え、更にその子綱紀に家督が相続されますから、徳川家にとっては二代に渡っての縁戚という事になります。
村上源三の小説「水戸黄門」では、四代将軍家綱が跡目問題について光圀と前田綱紀の二人に相談するシーンがありますが、水戸光圀はともかく何で外様の前田に相談するんだ...と思われるかもしれませんが、そういう血縁関係が前提にあっての描写ということです。
今、東映時代劇チャンネルが無料で1955年の映画「水戸黄門」を配信していますが、水戸黄門には実は前田綱紀が何度も登場します。作品によっては綱紀が光圀を伯父上と呼んでいますが、綱紀の母は水戸光圀の妹にあたるからです。
その綱紀の代になって前田家の家格は江戸期を通じて最高に達し、何と御三家に準ずる扱いになりました。徳川親藩の松平諸家よりも上という事です。
以降、加賀前田家の極官は従三位参議となりました。従三位とは公卿の位であり、徳川御三家御三卿以外、この位に進める武家はありません。
外様序列第二位の島津家は、基本的には四位の中将が極官でしたから、明確に差別化されていました。
(将軍家の外戚になった島津重豪のように、例外的に公卿に列した例はある)
この序列、家格...というものは江戸期を通じて各大名家にとっては非常に重要視されていました。
ちなみに外様序列第三位の仙台藩伊達家は、特に島津家と「家格対等」であることに大変拘っていたらしく(※伊達家も基本的に極官は四位の中将だが、中将への昇進が島津家より遅い)、藩主によっては猟官運動に大金を投じて、藩の財政を悪化させた例すらあったほどです。
...珠姫に話を戻すと、金沢には珠姫の菩提を弔う為に利常が建立した天徳院が現在でも市内有数の観光地となっており、短くとも相思相愛の夫婦生活を送り子宝に恵まれた姫にあやかって、恋愛成就や子宝の御利益もあるとか
ともあれ、現代に至るまで金沢では大変愛されている人ではあります。
理由は色々あれど、要するに徳川の姫であるよりも前田利常の妻として生きた人だから、そして、その板挟みの犠牲になって非業の死を遂げたという点に尽きるようです。
蛇責めの一件は、荒唐無稽な作り話のようで実は複数の資料にそれに近い記載があり、件の侍女はそれで殺される前に自害した説もありつつ、完全に虚構の産物でもないようです。
(※一方、姫の夫への愛の深さを示す逸話として有名な秀忠へ夫の帰国を願う手紙の一件は信憑性が怪しいようで、史料の出典を追っていくと、Wikipediaやネットに流布している通説はどうも史料の拡大解釈...話を盛った節も)
何にせよ、前田利常の怒りと憎悪は無理からぬことでもあり。
しかし問題の侍女は、何だって姫が長じて利常との間に何人も子を成した後になってから、そんなことを姫に強いたのか。
普通「ああいう事」は、やるならやるで姫が幼少期から叩き込んでいるのが普通で、それならそれでもっと早い時期に問題は顕在化していた筈です。
姫と利常のラブラブっぷりは何もあの時期になって始まったことではなく、それまで約10年間毎年のように出産を繰り返していたのですから、徳川の姫が家来筋の外様大名とラブラブなのが気に食わんというなら、問題の侍女はそれ以前から妨害を開始している筈で、通説をそのまま受け取ると大変不自然なのです。
姫は利常が会いにこなくなっただけで物も食えぬほどに神経をやられて衰弱死した...という位夫を熱愛していた訳で、そうだとすると、侍女の妨害は最後の子である夏姫出産の時期まではなかった可能性が高いです。
(もしそれ以前にあったら、珠姫の精神はその時点でやられていた筈である)
故に問題の侍女の横恋慕説など異説が存在するのも、一理あります。
そもそも侍女の行動は、徳川家の利益にすらなっていません。徳川家は前田家を敵に回したくないからこそ珠姫を送り込んでいる訳で、珠姫と利常が疎遠になったり不和に陥ったりした処で、徳川家に何の利益もないのですから。
だからこそ後に利常から件の侍女の処刑の許可申請があった時にも、秀忠はこれを許したのでしょう。
ともあれ、この姫あって後の加賀百万石が安泰となったことは間違いありません。
姫が産んだ前田光高が家督を相続しますが、つまり秀忠にとっては外孫であり、家光にとっては甥です。徳川家としては粗略に扱う筈がありません。更にその光高は水戸徳川頼房の娘を家光の養女格で妻に迎え、更にその子綱紀に家督が相続されますから、徳川家にとっては二代に渡っての縁戚という事になります。
村上源三の小説「水戸黄門」では、四代将軍家綱が跡目問題について光圀と前田綱紀の二人に相談するシーンがありますが、水戸光圀はともかく何で外様の前田に相談するんだ...と思われるかもしれませんが、そういう血縁関係が前提にあっての描写ということです。
今、東映時代劇チャンネルが無料で1955年の映画「水戸黄門」を配信していますが、水戸黄門には実は前田綱紀が何度も登場します。作品によっては綱紀が光圀を伯父上と呼んでいますが、綱紀の母は水戸光圀の妹にあたるからです。
その綱紀の代になって前田家の家格は江戸期を通じて最高に達し、何と御三家に準ずる扱いになりました。徳川親藩の松平諸家よりも上という事です。
以降、加賀前田家の極官は従三位参議となりました。従三位とは公卿の位であり、徳川御三家御三卿以外、この位に進める武家はありません。
外様序列第二位の島津家は、基本的には四位の中将が極官でしたから、明確に差別化されていました。
(将軍家の外戚になった島津重豪のように、例外的に公卿に列した例はある)
この序列、家格...というものは江戸期を通じて各大名家にとっては非常に重要視されていました。
ちなみに外様序列第三位の仙台藩伊達家は、特に島津家と「家格対等」であることに大変拘っていたらしく(※伊達家も基本的に極官は四位の中将だが、中将への昇進が島津家より遅い)、藩主によっては猟官運動に大金を投じて、藩の財政を悪化させた例すらあったほどです。
...珠姫に話を戻すと、金沢には珠姫の菩提を弔う為に利常が建立した天徳院が現在でも市内有数の観光地となっており、短くとも相思相愛の夫婦生活を送り子宝に恵まれた姫にあやかって、恋愛成就や子宝の御利益もあるとか
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