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「ただいま」

私は一家の大黒柱だが、
家庭内の立場は
妻が上で次に子供、そして、犬、そのつぎに私だと思っている。

朝、誕生日おめでとうを期待していたが、
反応がなかった。
というよりも、誰もその言葉を口にしていないのだ。

まぁ、わかっている、家庭内の立場が低いから、だいたいなぜ、血の繋がっていないあなたを祝う必要があるのかという話だ。けど、せめて、せめて、子供には祝ってほしかった。

そうこうしてるうちに、
気づけば夜、真っ暗な空に、
光害のせいかほとんど見えない、
星、見える星は、光害などなければ、
もっと綺麗に輝いているだろうに…。
光害が星を消し去る様は、私の精神状況を反映しているようだった。

「ただいま…」

扉を開ける、期待はしない、
しないが、祝ってほしい、ありがとうって言ってほしい、ほしい、ほちぃ、ほてぃ、
あっ…あぅあぅあ@#%#(@?$

すると、私の前で子供たちが立つ、

「せぇーの!お誕生日おめでとう」

クラッカーをならす、子供たち、

「パパの誕生日を覚えていたのか」

「「うん!」」

思わず、顔がほころぶ、

「これは夢かな?トニー、僕の頬をつねってくれないか」

「お父さん、何言ってんの?現実だよ」

「いいから、僕をつねってほしい」

「変なの、まぁいいけど」

息子のトニーは僕のほっぺたを思いっきりつねった

「イテテテテ」

悪魔の実を食べてたらゴム人間になってたことだろう

「ありがとう、ここは現実の場所だね」

お風呂に入り、体を清め、
夕食を談笑しつつ楽しく過ごした

(こんなに幸せな日はいつぶりだろう)

ずっと、孤独だった、
誰にも称賛されず、
ただひたすらに、
物事を遂行する機械になっていた
そこに自分の意思は存在せず、
意思を持てば、
権力が拳を振りかざす

いつしか、僕の心は
どこかで
無になった虚無の虚無、
キョムキョムプリンだ

しかし、今日は違う、

誕生日ケーキだ。

「ハッピーバースデートゥユー、ハッピーバースデーディアお父さん、ハッピーバースデートゥユー」パチパチと

拍手、僕は蝋燭の火を消す

「ありがとう、僕はなんて幸せ者なんだ」


あれ?なぜだろう、なんだか眠くなってきた、瞼が徐々に、段々と、視界が真っ暗になっていく。

心音が聞こえる、
心電図の音、
誰かが僕を呼ぶ声、

「お父さん、しっかりして!おとうさーん」

(あっこれは…現実なのか)

僕は理解した、現実は
夢ほど甘くないんだってことを、
夢と比べてうまくはいかないってことを、


「ありが…と…う」

僕は、死んだ、
死因は心不全によるもの、
ストレスと不摂生が原因、
自業自得だった、
僕は家族すらも遠ざけて、
周りの人との接触を
自ら恐れていた、
だから、当然、
家族も冷たくなるよな…ハハハ

夢の中のハッピーバースデーは、
幸せに満ちていた。

あれは、パラレルワールドなのか夢の中かは定かではないが心地よかった

「何をぼぉーとしてる、早くいけ」

鬼にケツバットを食らわされる
感傷に浸りがちな僕にはちょうど良かった

「オォーもっとしてくださぁい」

「きっ貴様は変態だな」

鬼は変態な僕を見て、
気持ち悪がられていた

「判決、煉獄」

僕は煉獄送りにされた
天国でもなく地獄でもない場所、煉獄
そこは現世となんら変わらない世界が広がっていた。

「なるほど、つまり、僕らは煉獄を生きてたのか…」

呪文

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