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一足遅かった。俺がかけつけた時には、魔導師の耳障りな詠唱は終わりかけていた。もうすぐ陽が沈む。
 「…来ルゾ」魔導師が軋むような声で言った。次の瞬間、そいつは陽炎のようにゆらめきながら現れ、実体化した。
 骸骨だ。剣を握っている。目が蝋燭のように光っていた。
「要はこいつを倒せばいいんだろ」油断なく剣を構えながら、俺は魔導師に言った。
 「倒セナイ」断言しやがった。
 「言っておくが、俺の剣は死人を浄化できる」リルルカの屍少女たちを思い出しながら、俺は続けた。
 「死人デハナイ」
 「何だと?」
 「ロボット。ウシナワレタブンメイノイブツダ。タンソセンイヲ…」
 魔導師が何を言ってるのかさっぱりわからなかった。
 「何でもいい、ぶった切ってやる」     自分を奮い立たせるように呟く。こめかみから冷たい汗が流れるのを感じた。
 「…ソノ剣デハ切レマイ」
 「やってみるまでさ」
 魔導師の頭巾が少し動いた。笑っているらしい。
 骸骨が間合いを詰めて来た。動くたびに関節から虫の羽音のようなブーンという音が聞こえる。何なんだこいつは。
 さあ来い、化け物。
 俺は剣を振りかぶった。

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